プロフィール

Biography

【Poetic Statement|原点】

「夢が咲き、人が現れる」—— 花を通して魂を祈る絵画

私の絵は、満たされない感覚から始まります。
けれどその“足りなさ”こそが創造の種であり、
男と女、光と影、自他といった相反するものが惹かれ合う
「融合への切望」を生みます。

伝統的な日本画の技法と素材を用い、
私は地球の美と宇宙の感情を結びつける作品を描いています。

「華人間」は私の代表的モチーフで、
顔を花に置き換えた存在です。
薔薇や桜、蓮といった花が、
鑑賞者自身の記憶や感情と響き合い、
自由な物語を紡ぎます。

なかでも薔薇は、亡き友人への祈りから生まれた
特別なモチーフです。

また、「白夜」シリーズでは、
銀箔の中に浮かぶ裸婦を通して、
女性の心の奥底に潜む名もなき感情を表現しています。

私の絵が誰かの心にそっと花を咲かせることができたなら、
それが何よりの喜びです。


【Artist Statement|現在の立場】

山田久美子|日本画家・リサーチベースド・アーティスト

私は、日本画の素材と技法を用いながら、
美がどのように人の内面に作用するのかを問い続けています。

美人画のように理想化された人物像を描くことではなく、
人物の顔を花へと変換する「匿名化」の方法を通して、
作品の主体を描かれた人物から
鑑賞者自身へと移動させることが、
現在の制作の核です。

顔から個人を特定する情報を取り除くことで、
鑑賞者は作品の中に
自らの記憶や感情、想像力を
無意識のうちに投影せざるを得なくなります。

私の作品は、誰かを描いた肖像ではなく、
見るという行為そのものを映し返す場でありたいと考えています。


【Research Statement / Concept|研究概要】

本制作は、肖像表現における
「美」と「個人性」の関係を問い直す
長期的な研究です。

美人画のように理想化された人物像の再現ではなく、
顔を花へと変換する匿名化の方法を用いることで、
作品の主体を描かれた人物から
鑑賞者へと移動させます。

薔薇や桜、蓮といった花は装飾ではなく、
鑑賞者の記憶や感情を引き出す
媒介として機能します。

日本画の素材と時間を要する制作工程は、
意味が鑑賞者の内側で立ち上がる速度と呼応し、
見るという行為そのものを可視化する方法でもあります。